自宅からバス停まで行く途中に、白鳥路という金沢城と温泉ホテルの間を通る300~400mほどの静かな小径があります。狸が住むスダジイや桜の古木が生い茂る谷間を通って、金沢城大手門側から、石川門側(前田利家像が立っている側)の兼六園下に抜ける道です。ホタルがいる、といっても、ゲンジボタルが住むには水量が少ないし、巻き貝も殆どいない観光用のヤラセボタルか?と思われる小川が流れる道沿いに、文豪の銅像などが並んでいて、市民と観光客の憩いの場であるはずなのですが、臭いのです。ここの森は、カラスの寝ぐらになっていて、カラス(一部は山鳩か)の糞が、毎日降り積もっています。上を見れば、北陸随一の都市の中心地とは思えないような爽やかな風景なのに、足下を見れば恐ろしい状況を目の当たりに。観光シーズンは、金沢市が毎朝人手を投入して清掃しているので、気にならない程度なのですが、端境期は速く通り過ぎたくなるような状態で、いつ爆弾を浴びるか冷や冷やしながら通過することになります。この白鳥路、泉鏡花などの作家像の他に、変なポーズのブロンズ像が立ち並んでいます。この中で異彩を放っているのが、手刀を顔の前に立てている青春の譜です。因みに、駅前のやかん像、香林坊の蝶結び脚など、有名無名を含め、金沢はやたらと変な像やオブジェが建っているところです。しかし、本当にカメラを持っていなかったことが悔やまれる瞬間に出くわしてしまいました。若者の筋骨隆々とした肉体美が眩しい青春の譜の頭に乗ったカラスが”カー”と一声鳴いては、若者の頭を一撃しているのです。しかも、それを延々と繰り返しています。これほど、カメラを持っていなかったことを悔やんだことはありませんでした。このため、最新の高速動画撮影機能付きのコンパクトカメラを研究費で購入してしまいました(もちろん、個人の趣味ではなく、研究テーマとして認められた使途として)。
大きく脱線してしまいましたが、カラスの問題については、金沢大のイグノーベル賞受賞者の広瀬先生発明のカラス撃退合金を使用れば解決しそうなのですが、金沢市は江戸時代から金沢城に住んでいるカラスの居住権を認めていると思われます。確かに、金沢城からいつも陽気なカラスがいなくなったら、寂しい気もしますし、周辺の住宅・商店街(いまは鳶の縄張り)に引っ越しとなったら、少々恐ろしいような気がします。ところで、カラスは街中にも縄張りを持っていますが、面白いことに特定の通りの特定の区間にしか駐屯しません。何がカラスを引きつけ、何がカラスを拒んでいるのか、カラス撃退合金以外に人間には見えないものがあるようです。
[参考] 2020年頃から、白鳥路に全くカラスがいなくなりました。何かカラス対策をしたのでしょうか。以前は、夜にレーザポインタで木の上を走査すると、すごい勢いでカラスが飛び立ちましたが、今は全くいないようです。