実際には殆ど休み無しのゴールデンウイークだったが、1日ぐらいは外へ出ようと決心。昆虫嫌いの彼女にお弁当を持たせてキゴ山に登った。といっても、この山はバス停から頂上まで距離にして500mほどしかない。コツバメがつつじの上で静かに日光浴をし、山道をミヤマセセリが音も無く飛び交っている。山頂では、医王山から降りてきた爽やかな風が草原を吹き抜け、金沢の町へと滑らかに落ちていく。午後の日差しが強くなり、ギフチョウが飛び交う林縁を見上げながら放牧場へと降りていった。もうこのころには、彼女は、カムフラージュしている昆虫を見つけては、私に教えるまでになっていた。