
ツマグロヒョウモン
[タテハチョウ科]
図鑑の中のツマグロヒョウモンは、黒っぽい色をしていてどちらかというとあまり目立たない蝶かもしれません。しかし、実際のツマグロヒョウモンは、深い藍色の構造色を持っていて、メタリックブルーから紅色へ鮮やかに絶妙の色彩変化を見せてくれます。1997年頃まで、この蝶は南国の蝶であり、金沢では大変珍しい蝶でした。山頂に集まる性質が強く、これまでも金沢市内の比較的高い山で稀に見つかっていたようで、土着しているのではないかと噂されていたそうですが、これまで発生地は確認されていませんでした。1998年秋、百万石蝶談会の嵯峨井氏から金沢市内の発生地が同会の笹川氏により確認されたという連絡があり、嵯峨井氏および同会の松井氏、久慈氏らの調査に連れていってもらいました。この蝶は、現在も北へと分布を広げつつあり、既に、金沢以南では盛夏から秋ににかけて、街中でも見ることのできる普通の蝶となっています。

雄と雌で羽の色が別種のように異なっている。雄は、普通のヒョウモン模様を持っている。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

体が温まって飛ぶ用意が出来たところ。発生地付近ではあまり俊敏な飛翔はせずふわりふわりとした緩やかな飛び方をしている。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

雌に接近して撮影。まだ、十分に体温が上がっていないのか、人間が近づいても反応しない。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

今朝羽化したばかりの美しい個体。蛹は日陰にいるので、羽化した後も日光が当たらず、飛べない状態のまま羽を小刻みに震わせていた。雌は、羽の裏側まで紅色になっている。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

産卵中の雌。地面すれすれゆっくり飛んでいたが、落ち着きが無く、あまり近寄ることができなかった。
撮影場所:金沢市夕日寺
撮影月日:2000.8.20
撮影者 :北川章夫

朝はじっとしていたが、昼近くになって、食草を食べ始めた。ここでの食草はオオタチツボスミレのようだ。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

朝露に濡れながらしっぽでぶら下がっている蛹。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

こうして並べてよく見ると、羽の模様は良く似ているが、雌の方が白っぽいのがわかる。雄は少し紫がかった茶色である。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

この付近には蜘蛛の巣が張り巡らされていたが、他に引っかかっているのは見当たらなかった。交尾中のペアを撮影しようとして近づいたら、驚いて飛び立ったため、蜘蛛の巣に突っ込んでしまった。すかさず蜘蛛が雄の方に飛び掛かったので、雌の方だけ巣から逃してやったところ。蜘蛛にとっては、迷惑だったろう。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

飛び立っては、同じ場所に戻って来る。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

薄に止まって休憩する雄。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

雌は、ヒョウモンらしくない色彩を纏っている。真上や前方から見ると前羽が青色に輝いて、前羽付け根の深い紅色とのコントラストが美しい。羽が朝露に濡れてまだ飛べないようだった。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

昼頃になって、少し広い草原へ移動してみたが、こちらでは活発に飛び回るのが見られた。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

日の当たる場所に止まり込み、羽を広げて日光浴している。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

羽の痛んでいない美しい個体である。太陽の光を羽で受けるようにして草むらに止まっていた。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

この幼虫は、朝暫く若いスミレの葉を食べていたが、暫くするとじっとして動かなくなった。まだ、終令前の幼虫である。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

奇妙なことに、蛹は金ぴかの刺を持っていて非常に目立つ。いったいどういう意味があるのか考えてしまうほど完全な金ぴかである。まさか表面プラズモン共鳴ではないだろうと思うが、このような構造色が作れるものなのか。抜け殻にはこのような色は見当たらない。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

このカップルは、雄がじっとしていて雌の方が飛んでいた。この後、雄は蜘蛛に食べられてしまうのだが・・・。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

このカップルは、雄の方が優先的に移動していた。どちらが優先するかは決まっていないようだ。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

雄は、通常のヒョウモン模様だが、後羽の縁が黒いので、他のヒョウモンとはすぐに区別がつく。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫

湿った炭から吸水しているところ。
撮影場所:金沢市
撮影月日:1998.10.3
撮影者 :北川章夫